性感染症について

性感染症とはどういうものか

性感染症とはどういうものか

性的な接触により感染する病気を「性感染症」と呼び、クラミジアやヘルペス、HIVなどを含めた約20種類の病気があります。

女性は男性よりも性感染症の初期に自覚症状が乏しい傾向にあるため注意が必要です。

性感染症にかかると、妊娠にも影響を与える可能性があります。感染がお腹の中まで広がる、不妊症になる、母子感染により赤ちゃんへ異常をきたす、といった事態が起こることもあるので注意が必要です。

近年の性行為の多様化から、性器以外に「のど」への感染も増えています。自分を守るためには、性感染症に対する正しい知識を持って予防に努め、新しいパートナーができた時に適切な健診を受けることが重要です。

感染が判明しても、早期であれば多くは簡単な治療で済みます。病気を繰り返さないためには、パートナーとともに治療を受けることが大切です。

「性感染症」について、愛知県医師会が運営する「あいち健康ナビ」に当院長が担当しているコラムがありますので、こちらも是非ご覧ください。

クラミジア

クラミジアは現在最も患者数の多い性感染症です。「クラミジア・トラコマチス」という病原体の感染によって、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎、尿道炎や咽頭炎などを引き起こします。不妊症や流産の原因になることもあります。

  • 症状

    クラミジア単独感染による子宮頸管炎では、少量の水っぽい白濁したおりものを認めます。しかし多くの場合には自覚症状がないため、気づかずに放置されているケースが少なくありません。他の細菌との混合感染では、膿性のおりものとなることもあります。卵管炎や骨盤腹膜炎に進展すると、下腹部痛や性交痛が起こるようになります。

  • 検査方法

    クラミジア核酸増幅検査(PCR法)や、血液検査(過去に感染したことがない場合)を行います。

  • 治療方法

    アジスロマイシン(ジスロマック)やレボフロキサシン(クラビット)などの抗生剤の服用を行います。1日だけ服用していただくタイプと1週間服用するタイプがあります。
    完治の判定は、服用してから3週間後になります。パートナーの検査を必ず行うようにしてください。

淋病

淋菌の感染によって子宮頸管炎を起こす病気です。子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎、尿道炎や咽頭炎などを引き起こすこともあります。

  • 症状

    膿性のおりものがありますが、自覚症状の全くない人もいます。

  • 検査方法

    淋菌核酸増幅検査(PCR法)を行います。クラミジアとの混合感染のケースも多いので、2つの検査を同時に行うこともあります。

  • 治療方法

    抗生剤の点滴(ロセフィン=セフトリアキソン)を用いますが、耐性菌(抗生剤が効きにくい細菌)が出現しているため、治療後の検査は必ず受けてください。
    パートナーの治療も必ず行ってください。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスの感染により発生する、外陰部、腟、肛門周囲の「いぼ」です。

  • 症状

    カリフラワー状の表面が”ぷつぷつ”した「いぼ」が1個、もしくは複数できます。腟などの粘膜に発生した場合は形が異なり、診断が困難な場合もあります。

  • 検査方法

    視診だけで済む場合もありますが、確定診断には組織検査が必要です。

  • 鑑別診断

    腟前庭部乳頭腫、ボーエン様丘疹、性器ボーエン病など。

  • 治療方法

    外科的切除、電気焼灼、液体窒素による治療、レーザー治療などがあります。当院で主に行う治療は、有効性や再発率の面から、保険適用の外科的切除と高周波メスによる電気焼灼の併用です。また、「いぼ」が外陰部や肛門周囲などの部位だけにある場合は、ベセルナクリームが使用できます。

性器ヘルペス

「単純ヘルペスウイルス」というウイルスに感染する病気です。初めて感染したときは、発熱から発症し、後に激しい痛みと水疱が出現します。

  • 症状

    外陰部や腟を中心として、潰瘍や水疱が現れます。激痛に見舞われることもあり、歩行困難や排尿困難を起こす場合もあります。

  • 検査方法

    主に視診で行います。血液検査で抗体を調べることもあります。症状がある部分からウイルスを採取して調べることもあります。

  • 治療方法

    抗ウィルス薬(内服薬)、外用薬を症状に応じて使います。

梅毒

梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という病原体が皮膚や粘膜から侵入することで感染する病気です。近年、日本においても急速に患者数が増加しています。

  • 症状

    潜伏期の後、感染部位にしこりや潰瘍ができます。痛みを伴わないことが多く、時間が経つと消失するため、医療機関への相談が遅れることがよくあります。

    その後は全身に広がり、皮膚や粘膜の発疹を生じます。さらに未治療の場合は、晩期梅毒となります。

  • 検査方法

    採血を行い、梅毒に対する抗体を調べます。

  • 治療方法

    抗生剤(ペニシリン)の投薬が有効です。その後、検査値が十分に低下していれば、治癒と判断します。

    梅毒は近年増加傾向にあり、無症状なのに感染しているケースもあります。また、梅毒患者は複数の性感染症に同時感染していることも多々あります。
    妊娠中の感染は、先天梅毒の危険があるので、要注意です。

    再感染の恐れもありますので、早めに検査を受けるなどの対策が必要です。

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